
前回までの連載ではタイ旅行記や音楽業界の不況問題など、バンコクのシーンと関係のないことばかり書いてきたので、今回こそ現在のバンコクで起きている面白い出来事を取り上げたいと思います。 「最近バンコクが面白くなってきた」 音楽文化という大きな観点から見るとまだまだ問題は山積みなのかもしれませんが、行くべき場所に辿り着けさえしたら、きっと、そこにいるみんなの顔がそう語っていることでしょう。それでは、そんな夜のいくつかを覗いてみることにします。
バンコク最大のクラブ街といえばRCA。辿り着くにはなんのことはない、タクシーをつかまえて「アー・シー・エー」と言えばいいだけだ。数々の巨大なクラブでは流行の曲が大音量で流れ、タイ人の仲良しグループがウイスキーのボトルを囲みお喋りに興じている。そんな光景の溢れるRCAの片隅に、小さくてかわいくて控えめで臆病で・・・・世の中の素敵なものを集めたような、およそこの歓楽街には似つかわしくない空間がある。 その空間は<nospace>と名付けられたギャラリー兼ライブスペース。タイや欧米のアーティストによる個性的な作品が常に展示されていて、踊りにいく前にちょっと覗くにも丁度良い。 そのnospaceや同じくRCAにあるCosmic Cafeなどで定期的にイベントを行っている集団がいる。その集まりは<Dontcan>といい、つまりタイにおけるエレクトロニカ/ポストロック的な展開である。彼らのイベントはその名も”delicate”という。 Experimentalと謳ってはいるが、彼らの音楽性はあまりにも無邪気だ。まるで子供がガチャガチャ鳴る玩具を手にして遊んでいるように見えることもある。実際にバンドとなると若いメンバーも多い。だけど、民族衣装を着ながら深刻そうな顔でラップトップとにらめっこしているよりはずっといいではないか・・・そう、ずっと。
デリケートというにはあまりにも奔放に音と戯れている印象だが、<The Apostate>のような(おそらく)シリアスなテーマを扱っているバンドもイベントには参加している。UKギターロックやアメリカンオルタナティブの影響を隠さないバンドも多く、アバンギャルドという言葉にはとらわれていないようだ。 彼らには大きな期待をしている。いつかこの、天真爛漫なノイズ楽団、あるいはR.E.M./スマッシング・パンプキンズチルドレンが、宝物のような音楽を生み出してくれるに違いない。中心人物のSpace360°ことBenは、そこで起こっていることを、いつも優しくあたたかい目で見守っている。タイノイズに未来を!
同じくRCAで極上のレイブサウンドと壁を震わせるベース音を響かせていたパーティーがある。もはや説明の必要もないかもしれないが、Homebass Communicationsの<Dragon>の主催する”Dubway”である。移転する前のClub Cultureでの1周年パーティー(日本よりGOTH-TRADを招聘)がなにやら遠い昔のようだが、RCAを一時離れた現在でも、アートエキシビションやワークショップなど、形や場所を変えながら進化を続けている。 DragonにとってDUBとは音楽であると同時に哲学なのだろう。サウンドだけではなく、Thun Puchpenというような素晴らしいグラフィティ・ライターもバックアップしている。彼らの活動は必ずや大きな実を結ぶに違いない。 いまや音楽業界においてオーバーグラウンド/アンダーグラウンドの別はあまり意味を成さないのかもしれない。それでもDubwayはアンダーグラウンドを標榜する。そこに意味があるからだ。彼らのやっていることが、国内のメインストリームのカウンターとなっていることを充分に自覚しているからだろう。いつか夜のDragonのひと言が忘れられない。「たった今、こんな最高のUndergroundのパーティーが行われてるっていうのに、みんないったい何をやってるんだ!」
アンダーグラウンドの枠を軽く飛び越えて世界中にタイ国産の音楽を発信しているパーティーといえば<ZudRangMa Records>のMaft Saiによる”Paradise Bangkok”だが、その詳しい活動については別項に譲ることにする。素晴らしいグルーヴを有した、この国で見捨てられつつあった塩化ビニール盤。それが彼の手にかかると、なんともモダニズムに溢れたレアグルーヴへと変貌する。その手法は鮮やかというしかない。日本ツアーを成功させた現在、その目はどこに向いているのだろうか。
最後に手前味噌ですが、<DJ mAsa>ことにわちゃんとやっている”GIANT SWINGIN’”を紹介します。大阪の友人<QOTAROO>の手掛けるアートワークに見られる渦のようなマークには、様々なものを巻き込んで大きなうねりを起こしたいという願いが込められています。まだRCAのあまり目立たない小さなクラブでやっているようなパーティーですが、自分たちの役割を信じて続けていきます。 Dubwayやdelicate、そして仲間たちと起こす大きなうねり。世界中の音楽好きたちが「バンコクは面白い」と囁きはじめる日は近い気がします。
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RT @dudemagazine: 第5回 Swingin' Bangkok #Hiroo http://bit.ly/bt71b5
ヒロオタグがw 地名の「広尾」と被るので#HirooOPSがいいかも〜 RT @mAsa_niwayama RT @dudemagazine: 第5回 Swingin' Bangkok #Hiroo http://bit.ly/bt71b5