1月30日に行われた“Culture One”。6つの音楽アリーナと40以上のDJやライブアクトを擁するこのタイ最大のダンスミュージックフェスティバル。3年目となる今年はさてどうなるものかと、足を運んでみました。
前情報をほとんど仕入れずに向かったので、まずは会場のアクセスのしやすさに意表をつかれた。想像していたのは、大げさにいうとヨーロッパの野外レイヴのようなものだったし、地元の北海道でさえ(行ったことのある人はわかるが)ライジングサンロックフェスティバルのような何もない場所や、あるいは山の上などでこうしたパーティーは開かれるのが相場だ。なにはともあれ、少し疲れているときにこの利便性は非常にありがたいものがある。
会場に入るとあらゆる方向から音が飛んでくるが、印象的だったのはライティングの効果。それぞれのステージが、様々な趣向を凝らした光に包まれていた。
入ってすぐのところにあった“Dudesweet”と名付けられたステージ上では、エレクトロにのせて、ダンボールで作った衣装に身を包んだダンサーたちが踊っている。今でもエレクトロは、若い世代にとってのトレンドであり続けているのだろう。そして・・・エレクトロとはすなわち、ロボットのことだったのだ。ダンボール製の、奇妙でかわいいロボット。
どこにいていいかわからずにしばらくウロウロしていたけれど、その身体を釘付けにしたのがChris Liebing。本場ドイツの、硬質な、踊ることへの快感を止めることのない、ぶれのない、しなやかなグルーヴ。初めにDJにハマったのはJeff Millsだったし、最後に熱心にテクノで踊っていた時期はもう10年以上も前になるかもしれないが、テクノ・ミュージックはこうしてしっかりアップデートされていたのだ。
ベテランGraham Goldや、メインアクトのSven Vathが皆を沸かせるのを横目に、早めに帰途につくことにした。この便利さは本当に良い。
アンダーグラウンド・シーンからは「スーパーマーケットクラブ」などと揶揄されることのあるヨーロッパの巨大スーパークラブだけど、ここはバンコク。1年に1回こんなお祭りがあってもいいのではないだろうか。
あっけらかんと楽しむタイ人たちの明るい表情を見て、このフェスティバルが続いていくことを願ったのでした。
それから10日後、バンコクのクラブ街RCAの一角で”delicate”という集団が、ささやかな、しかし刺激に溢れるイベントを開催した。音はエレクトロニカとポストロック。レディオヘッド・チルドレンというと勘繰りすぎだろうか。だけど、たしかに彼らには言いたいことがあるように思えた。細やかな感情表現があった。言葉がわかならいのがくやしい。
彼らのライブをじっと見つめるモヒカンのパンクスたち。ただ楽しそうに飲んでいる女の子たち。巨大クラブに囲まれた隙間のような空間。だけど風通しの良い雰囲気。永遠の夏に包まれているようなバンコクで、終わらない”愛の夏”(サマー・オブ・ラヴ)の到来を夢想してしまった。いつかこの国の文化に、大きな変化が訪れるのかもしれない。
はじめましてということで最後に自己紹介。私は北海道でイベントオーガナイズなどをした後にバンコクに来て、今は”Oyamapan Sound”というレーベルをやっています。レーベルのテーマは、コンテンポラリー・ワールド・ミュージック。世界各地の未知の音を探し求めています。初めの展開として「極東のビッグバン・ブルース」ということで、日本のオリジナルなブルース・ミュージシャンのリリースを用意しています。日本での全国流通は4月より。そのような音も常に募集していますので、みなさんの情報お待ちしております。
今、日本国内で気になっているイベントは4月10日と11日の2日間に渡って行われる“KAIKOO”。アンダーグラウンド・ミュージックの見本市のような、素晴らしいラインナップです。THA BLUE HERBや、やけのはらなど、過去に自分のイベントに出演してくれた人たちも出ます。この連載では日本の気になる動きも同時に伝えていけたらと考えています。今後もよろしくお願いします!
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