
10月は2週間連続日本人D’N’B DJによるイベントが続くという非常においしい月でした。まず10月13日にCLUB CULTUREにて初タイでのセットでフロアを沸かせてくれたDJ T-AK。イベント終了後、バンコクでのイベントの感想やD’N’Bシーンについてじっくりと語ってくださいました。
■今回タイでイベントをすることになったきっかけは?
これまでロンドンと東京の間を行き来して、音やフィーリングをいかに自分の色に変換して外に向かって提供できるかと考えてました。基本的にはヨーロッパでDJをすることはDJを始めた当初から考えていて、海外でどんな音や色を出せるようになるか常に自分を試してきました。
今回は、自分の既存ベースに音を提供するだけじゃなく、新しいベースを見つけること、それに全く新しい環境に自分を置いたとき、どんな気持ちや色を感じるかもう一度試してみたかったので、初めてタイやシンガポールでイベントをすることになりました。
■来タイする前は今回のイベントがどんなふうになるか全く分からなかった状態ですか?
分からなかったけど、でもイメージが何となくやっぱりあって、それが持ってきたレコードのセレクションに出てました。タイのD’N’BシーンについてはNOSE(今回のバンコクでのイベントのプロモーター)が簡単に教えてくれたけど、でもそれはあくまで情報であって実際に見たことないから結局知らないってことですよね。いかに先入観を持たせずに一般の人を自然に楽しませるかを常に考えてるので、それをちゃんと念頭に置いておけば絶対うまく行くとは思ってました。
■イベントの感想は?
確かに今日女の子多いなと思いました。そこでまず女の子も男の子も両方満足させないといけないと思ってて「飴とムチ」みたいな感じで(笑)一方に偏らずバランスをとりながらプレーしてたんですけど、結果的に自分が思ったとおりにできました。フロアをコントロールできたと思います。
結局自分の経験が生かされました。DJセットはストーリーだから、いいストーリーを作ればいいんですよね。DJにとって一番大事なのは選曲と順番。テクニックに執着する人がいるけど、そういうのは後で絶対についてくるから、大事なのはいかに状況を判断して、我がままにならずに会話できるストーリーを作るかってこと。でもフロアに合わせるわけでも媚びるわけでもなく、自分が好きな曲をいかに皆にどう同じくらい好きになってもらえるかと。そうすると、絶対自然に自分のカラーになるんですよね。自分がダンスフロアにいたらどういうふうに楽しめるかっていうDJの自分と、フロアの自分との対話みたいなところを考えて、それが生きてくるわけです。だから今回も2時間という時の支配者という責任を持って、DJっていうエンターテイナーとしての役割が果たせたんじゃないかと思います。
■ずばり、今回タイのイベントは楽しめましたか?
楽しめました、想像以上に楽しめました。最初、本当今回駄目でも仕方ないかなと思ったんですけど、すっごい楽しかったです。是非また来たいです。
■タイ人の女の子達がセット終了後「AKI!」って言ってましたよね?笑。
その声に振り向いちゃった自分もどうかと思うけど。僕のが髪短いじゃん。笑。
■タイでの新しい発見はありましたか?
D’N’Bカルチャーの存在をどう使うかは自分次第と改めて分かった気がします。自分のことしか考えてない独りよがりなDJが多いんですが、そういう人達のマスターベーション的自己満足なトラックって、聞いててがっかりします。そいじゃ何にもならないよ、と。だからそれを意識する。今回来て思ったのは、皆があっての自分がある。自分がD’N’Bシーンの中にいる人間だからこそ錯覚に陥りやすいんですよ。シーンはこうだから多分こうやらないといけないかな、みたいな。そうすると真似事になってしまって、シーンのただの一部、部品みたいになって自分が出せなくなってしまう。同じ人間として音を通したリレーションシップはどう転んでもリレーションシップだから、その関係がいかに大切かという重要性を今回バンコクで再確認しました。そこに立ってる人をどう気持ちよくさせるか、そしてどう自分も楽しめるか、って。それを忘れちゃうとマスターベーションになっちゃいますよね。それに、今回は本当にいいタイミングで来たと思います。ロンドンはD’N’Bはともかくクラブミュージックの中心都市で、皆慣れてて分かりながら楽しんでる。タイはそう分かってないけど楽しんでるってのが純粋に嬉しかったし楽しかったです。当たり前のように思ってくれてないところが良かった。
■ロンドンは厳しいんでしょうね。自分の音がジャッジされてるという意識は常に強かったですか?
めちゃめちゃ。駄目だとブーイングされますから。その分いい音出せばすごく盛り上がるから、アーティストが伸びるんですよね。そういう環境にいられたのはラッキーでした。でも、一番ラッキーだったのは、LONDON ELEKTRICITYと出会えたことです。彼の考え方や、HOSPITAL RECORDSというレーベルとしての思考がすごい。大事にしてるのはアンダーグラオウンドでもオーバーグラウンドでもなくミッドグラウンド、と徹底してるんですよ。アンダーグラウンドだと音を発信しても聞き手がいない、オーバーグラウンドだと吸収されちゃう。でもミッドグラウンドだと発信する場所を自分で選べて、オーバーグラウンドみたいに吸収されず、少人数でもオーバーグラオウンド並みにメディアに発信できる能力もあって、いいダンスミュージックで成功するにはそこしかない。メジャー化されると冒険しなくなって、業績ばかり考えちゃう。そこを彼らは徹底してて挑戦ばかりしていて、ビジネスとしても確立しているところに惹かれました。しかも皆結果を出して、アーティストを大事にするし、本当いいレーベルです。
■じゃ東京に戻って、自分達がD’N’Bシーンを作っているという気がしますか?
はっきり言って惰性を感じます、長いことやってるだけって感じで。僕を含め、海外で活躍してきた人達は常に危機感とプレッシャーを持っていたんだよね。ちゃんとやらないと誰も見てくれないっていう環境にいたから。だから必死でやらないと何にも変わらないって分かってるんです。日本全般の人は自分の国を出ていないから、D’N’Bは輸入文化としてしか入ってきていないわけで、メディアに影響されてる気がします。
それと、一番大事なのはいくらDJが上手くても作品がなかったら何もない。トレンドだけだと限界があるので、作品のないアーティストは先がない。作品があって初めて自分を証明できてメディアに評価されて、レコード会社も自分達のことをプロモートしてくれる。東京ではDJが増えるばっかりでパーティーは増えるけどお客さんは増えないし、作品は作らないし。作品作らないと何もならないっていう焦りを感じられないです。
■じゃ、東京にいて危機感ってありますか?
すごくあります。毎日ここにいるとやばい、って。成田空港に着いたときに「ここ、空気が緩い!」と思ったんですよ。ロンドンは空気が本当に鋭くてぱりぱりで常に緊張感があって、しっかりしてないと負けちゃうんです。なんというか、東京にいて抱える危機感はまた別です。それは東京では自分は外国人ではないから。ロンドンにいたときは自分が外国人で、存在消されちゃうっていう感じがしました。日本だと、これだけ甘やかされてたら頑張らなくなっちゃうんじゃないかっていう危機感があります。それでも最近はプロデューサーとしてリミックスの仕事が多く、ジャンルを超えた活動をして充実している面も当然あります。ロックとD’N’Bをミックスしたり面白いことをさせてもらってます。
■ロンドンに戻りたいと思いますか?
いや、もうロンドンに住む気はありません。6月に行ったけど、単純に物価高すぎ。笑。クラブも結構行ったけど昔ほどの衝撃はなかったです。もうロンドンが自分のなかで当たり前になっちゃったから。だからこそ今自分のなかで環境を変えなくちゃと。そりゃロンドンはやっぱりすごいですよ。でもそこにしがみついてたら駄目だから。今は、新しい場所を開拓しようと思います。ただ、それがまだどこかは分からないです。東京じゃないかもしれないし。
■バンコク来て下さいよ。音の知識がそうなくても、皆うんちくなしで楽しむことが上手な場所だと思いますし、ベテランDJが入ってきて、ローカルDJが刺激を受けてさらにレベルを上げていって、クラブシーンがもっと充実するといいなと思います。
そうですね、うんちくたれたら駄目ですよね。カテゴリー化ばかりして、体験せずに頭で決めちゃって冒険心が足りないシーンはちょっとどうかと思いますよね。だから来年東京でD’N’Bの名前を出さずにパーティーやりたいです。名前を出すと、現存パーティーの流れを出すパーティーというふうに評価されてしまって意味がないので。先入観を持たない人を楽しませて、自分も楽しみたいです。その意味もあって今回のタイでのパーティーも自信につながりました。楽しかったです、何回も言うけど。終わってからNOSEに「I LOVE YOU!」って言いました。笑。
■ちなみに普段はどんな音楽を聞きますか?
何でも好きで聞きます。アイデアを得るのは実際D’N’B以外のジャンルから。基本的に一番好きなのは、ダウンテンポ系のゆるいやつ。いい作品ってのは1個1個の音を聞いてても「その音しかないだろ」っていう意味があってそこに存在してて、全部まとまってるんですよね。ジャンルを越えた、偶然じゃないまとまりがあって、そういうの聞くとビビッときます。で、何聞いても曲作りにつながります。あ、これサンプルに使えるな、とか。
■今後の予定は?
バンコクの次は20日にシンガポールのHOMEで引き続き「FUTURE SOUND OF TOKYO」 をやって、来月15日には東京のWOMBでイベントが入ってます。年末の予定はまだないです。またバンコクにも来たいですね。
■皆一緒に楽しんだというのが大事で、共感したいから、とセット終了後ブースから降りてきてお客さんと交流していたT-AKさん、快くインタビューにも答えて下さり、とても誠実な素敵な方でした。
クラブ・カルチャーでの彼のイベントに参加した日本人の方(特に女性の方!)も多かったと思いますが、新鮮且つ着実にステップを踏みその場を上げていく彼の音は素直にとにかく格好良かった、とDUDE-MAGAZINE スタッフも思いました。
今後とも、T-AKさんがバンコクやシンガポール等の新開拓地で受けた刺激や影響を、音にどう反映させてどんな色に染まっていくか要チェック!
DJ T-AK関連リンク
Myspace DJ T-AK: www.myspace.com/takfsot
Myspace Future Sound of Tokyo: www.myspace.com/tfsotインタビュー取材: 竹本、陽翠、440
Popularity: 3%
関連記事は見つかりませんでした。